株式会社リクルート(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)の住まい領域の調査研究機関である『SUUMOリサーチセンター』では、「SUUMOトレンド発表会2023」を2023年4月20日(木)に開催し、「平屋回帰」というトレンドキーワードを発表いたしましたのでご報告いたします。
単身世帯・小規模世帯の増加、不要品の個人間売買アプリの普及、映像・音楽コンテンツのサブスクリプション化などを背景に、私たちは以前に比べ多くのモノを持つ必要がなくなりました。人生100年時代、度重なる災害を経験し、先々のライフスタイルの変化が想定される中、変化に柔軟な家造りや将来設計の面からも“ミニマルな暮らし”に注目が集まっています。
加えて最近は、住宅資材・エネルギー価格の高騰も著しいことや、SDGs(持続可能な開発目標)の採択により、脱炭素化・省エネ意識が高まったことで、初期コスト・ランニングコストともに低い、小さな平屋・コンパクト平屋へのニーズが増加しています。かつて日本では、多くの人は平屋や1階建ての長屋に住んでおり、2階建て以上の家が普及したのは戦後からです。日本の伝統的な家の形に、今改めて注目が集まるトレンドを「平屋回帰」と名付けました。
写真左から、株式会社ヒロ建工、デザインハウス・エフ、BESS(撮影/窪田真一)、PIXTA
かつて一戸建てといえば、結婚や子育てをきっかけに、生涯住むことを前提として選ぶもので、部屋数も収納も多く設け、さまざまな変化に備えることが当たり前とされてきました。しかし現在は子どものいない世帯や単身で暮らす人、高齢者世帯、一人親世帯など、世帯も多様化。人生100年といわれる中で、転職、子どもの独立、親の介護、体の変化など、自身に起こる変化を全て想定し、生涯暮らす家を選ぶのは難易度が高く、目の前の暮らしやすさと両立できないのかもしれません。サブスクやフリマアプリ等、IT化によりもたらされたたくさんの選択肢により、全てを家の中で賄わずとも、暮らしの質が上げられるようになってきました。これからは自身の変化に合わせてその都度、最適な住まいを選ぶ「都度最適」が日々の暮らしを豊かにしてくれるのではないでしょうか。小さな投資で、変化に柔軟に対応できる、20坪前後のコンパクトな平屋暮らし「平屋回帰」の現象は、さまざまな社会背景からの必然なのかもしれません。
『SUUMO』副編集長兼『SUUMOリサーチセンター』研究員
笠松 美香
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SUUMOリサーチセンターは、SUUMOの調査研究機関として、住まいや暮らしについての調査、住まいの品質向上に向けた実証実験、テクノロジーの実態調査を行っています。業界に向けた提言や生活者に向けた発信によって、住まいの価値を高め、ひとりひとりにその価値が届くまでの伴走・支援をしています。リクルート住宅総研としての創立以来、約20年に渡って培ってきた住まいの検討者と不動産事業者に関する深い現場知見とSUUMOという国内最大級メディア運営に基づくデータに依拠した、実現できる未来を発信していきます。
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